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 ○第一歩 <その3 行動の把握>   


・ なぜ ハクビシンの位置がわかるのか?
 ハクビシンの首の発信器から発信される電波を 指向性アンテナで受信します。 アンテナを 左右に振ってみると ピッ ピッ ピッと 電波が受信されます。 その方向にハクビシンがいます。 さらに慎重に電波の強さをメーターや音の強さで聞き分け その方向を現在地点を起点として地図に線を引きます。 この行為を数カ所で行うと 地図上で線が交差しますので そこにハクビシンが居ることがわかります。


・ 夜間の行動把握
★7/13  行動域
 まずは第一回目 日没から(18:30ごろ)から調査開始。 まだ地図が読めるくらい明るい。 19:30かなり暗くなった。 まだ動いた様子はない。 19:45動き始めた。
 一度 寝屋Aから北へ100mほど移動した後 23:00ころ寝屋Aの方へ戻ってきた。 そのまま南へ移動して 必死に探したが 2時間程度 行方不明になる。 25:00 電波をキャッチ。 寝屋Aから200mほど南に現れた。 恐らく側溝の中にいたと思われる。
 川沿いの100mくらいを2時間程度かけて 寝屋A付近に帰ってきた。 餌を物色しながら あっちこっちに立ち寄りながら 歩いているようだ。
 27:45 寝屋Aに帰着。 このころから東の山の上が うっすらと明るくなってきた。 28:00 捜索終了。

★7/23  行動域
 19:50ごろ寝屋Aから動き出す。あっちこっち彷徨うように動いている。 23:30 行方不明 疲れたので休憩を長めにとったのがいけなかった。 必死になり 車を使ってまで探したが 見つからない。 前回と同じ 妙だ! 25:50 あらぬ方向から出てきた。 思っても見ない北の方向だった。 小さな沢が流れていて その沢沿いに移動した模様。
 今日の行動域は 南北500m 東西50mくらい。 小川が流れる小さな谷間を中心に活動した。 27:30 いつもの寝屋Aにもどる。

★8/ 2  行動域
 19:40ごろ寝屋Aから動き出す。小川に沿って活動している。 南北に幾度も行ったり来たり。 26:40 始めてぶどう園に行った。 しかし ほんの30分程度の在園。
 27:40 いつもの寝屋Aにもどる。 今回の活動パターンがぶどうが実る時期の典型的な食餌探索パターンではないかと思う。

★8/10  行動域
 19:00ごろ寝屋Bから動き出す。 まず南へ150m 北へ150m 南へ150m 北へ130m 東へ40m 北へ190m さらに150m 
 やっぱり南北に流れる小川沿いを中心に活動し ザリガニなどを食餌する 餌場としているようだ。 ぶどう園には26:00に行く。 まるで 食後のデザートでも食べに来ているようだ。 28:20 寝屋Cに帰着。 

★8/23  行動域
 19:30ごろ寝屋Dから動きだし いつものように南北を行ったり来たり。 農作物を餌とするより 小川を中心にした食餌エリアがあるように思える。 寝屋へはいつもよりちょっと早い 27:30にDに帰ってくる。

★9/3   行動域
 18:30ごろ寝屋Eから動き出した。 いつものように小川沿いを歩いている様子。 22:30過ぎから こつ然と消える。 翌朝寝屋Cにいた。

★9/13  行動域
 18:00ごろ寝屋Dから動き出した。 日がつまるに従って 動き始めが早まっている。 いつものように小川沿いをあっちに行ったりこっちに行ったり。 久しぶりに いつもの寝屋Aに戻る。

★9/25  行動域
 数日金太がいないため 延々歩いて捜索。 いた! 山向こうの谷にいた。 電波が届かないわけだ。 一気に活動範囲が広がった。 ななも発信器をつけて放獣して以来居場所が確認できなかったが 金太の近くにいた。

★10/3  行動域

★10/12 行動域

★10/23 行動域

★11/ 5 行動域
 3時間ほど雑木林がある民家と小屋の裏を動かず。 昼間行ってみたが 餌となるようなものは確認できなかった。 県道をのこのこと渡る 金太を目撃。 それはそれは 感動!ものでした。

★11/14 行動域
 20:00〜23:20の間のみしか受信できず。 金太が立ち入りそうな場所を広範囲に捜索したが 残念な結果となった。

★11/26
 金太 ななともに 受信できず。 金太の今までの行動を分析しながら努力し探したが受信できず。 ななの実績がないため 考えられる場所を探したが 残念な結果だった。

★12/5
  金太は寝屋G付近から離れなかった。 ななは すすきや雑草が生える野原の中をうろうろしただけで 活動範囲は狭かった。

★12/17
 金太 ななともに まったく受信できず。 金太とななの今までの行動を分析しながら努力し探したが残念な結果だった。

★12/26
 金太 ななともに まったく受信できず。
寒くなってから 受信できないことが多く また 受信できたとしても その活動範囲は狭い。 このことから ハクビシンは日本の気候風土に順応し 厳寒期については一時的に穴隠りをするのではないかと思う。 ハクビシンの生態についての詳しく記述した文献はない。 簡単に説明されているものについては多数あるが 冬眠等については記述はない。 元来ハクビシンは 中央アジアから東南アジアに掛けて生息する動物。 厳寒の冬を経験することはないと思う。 そこで 前述の考えとなったわけであるが 現在ハクビシンが住むこの地域には 奥行きの深さがわからないほど深い洞窟が複数存在する。 装着されている発信器の能力は 見通しのよい直線で200m程度で かなり微弱な電波を発信しているに過ぎない。 いままでに経験した 深さ1m程度の岩穴では 10mまで接近しないと受信できない。 夜間テレを実施したとしても 穴隠りをしていたとすれば 発見できる確率はないに等しい。 そこで 踊れ大走査線を展開し 現在の寝屋を突き止め 冬眠の事実を確認することとする。 

次回予定  1/10